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    2024-04-30 10:03:00

    文=ジャーナリスト・木村知義 

    「なんとも『きな臭い』動きが続くものだ……」と筆を起こしたのは先月号の本稿でした。執筆は、そこで触れた4月の岸田首相の訪米前でしたから、これから起きるであろうことへの危惧、懸念を述べながら書き進めたものでした。 

    今号では先月の問題意識を継いで、日米関係の「新たな展開」を見据えて、日中関係のこれからを考えていこうと思います。というより、考えざるを得ない非常に重要なところに私たちは立ち至ったという問題意識です。 

    そこでまず、今回の岸田首相の訪米、バイデン大統領との首脳会談、さらにフィリピンのマルコス大統領を交えての米日比3カ国首脳会談という一連の流れについての復習からです。 

    米国と共にある軍事パートナー 

    「『米国は独りではない。日本は米国と共にある』。この日一番の声量で首相が訴えると、議場内は万雷の拍手に包まれた。首相は笑みを浮かべ、満足そうに議場を見渡した。この言葉こそ、首相が最も伝えたいメッセージだった」。日本の首相として史上2人目となる、米国議会上下両院合同会議における岸田首相の演説について伝えた、あるメディアの書き出しです。日本の首相としては安倍元首相以来9年ぶりの国賓待遇で米国に迎えられた岸田氏の高揚感あふれる様子をテレビ中継で見ながら、今回の岸田首相訪米がもたらすものについて深刻に考えさせられました。 

    「今回の岸田訪米は日米同盟が質的に飛躍した瞬間として認識されるだろう」と、米国で発行されている会員制のニューズレターが報じたと、あるジャーナリストのレポートにありました。そこには「米軍にとって、これまで日本の最大の重要性は、地域における米軍の展開拠点という点であったが、今回の首脳会談後、自衛隊は必要があれば米軍と肩を並べて戦争をする真の軍事パートナーになる」と書かれているというのです。 

    今回の岸田首相の訪米をくくるキーワードは、「グローバルパートナーシップ」としての日米関係でした。言葉を変えれば、日米同盟をさらに軍事的に強化して、日米2国間にとどまらず広く世界大に押し広げて「共に責任を持つ」とする、日米同盟の「世界化」を目指すものです。今回の訪米で「日米の距離を近づけたとの称賛を浴び、岸田氏はワシントンに居続けたいと思ったに違いない」と書いたのは米ブルームバーグのコラムニスト、リーディー・ガロウド氏でした。米国への{れい・じゅう}隷従を深めることへの幾ばくかの皮肉の響きもあるこのコメントが物語るものは、実に深刻だと言うべきです。 

    対抗と抑止に貫かれた日米同盟 

    今回の日米首脳会談を前に日本のメディアのインタビューに答えた米政府高官は、「1960年以来の日米同盟における最大の変化だ」と述べて「日米同盟の歴史的変化」であることを強調しました。60年の岸信介首相による日米安全保障条約の改定と並ぶ「歴史的変化」だと言うのです。 

    訪米を前に、米CNNのインタビューで岸田首相は、「われわれは歴史的転換点に直面している」として「防衛力を抜本的に強化する決定を下したのはそれが理由だ」と語り、「わが国の周辺においては、弾道ミサイルや核の開発を進めている国、また不透明な軍事力の増強を進めている国がある。そして実際に南シナ海、東シナ海においては、力による現状変更が現実に行われている」と、天博克罗地亚国家队赞助商を念頭に置いていることを隠すことなく語り、今回の日米首脳会談は「日米同盟の現代化に向けた歴史的機会」だとも述べました。これと{ひょう・そく}平仄を合わせるように、バイデン政権で安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は、首脳会談に先立つインタビューで、「(バイデン政権が発足してからの)この3年間で成し遂げたのは、この(日米)同盟をインド太平洋地域の平和と安全の礎としただけでなく、真の地球規模の協力関係へと発展させたことだ。(岸田首相の国賓待遇での訪問は地球規模の協力関係をあらゆる分野にわたって広く示す機会になる」と語りました。 

    日米同盟を「グローバル化」する、しかも「あらゆる分野で」というわけです。そこで確認された事柄の要点を押さえておくと、第一に、日本が陸・海・空の各自衛隊を一元的に指揮する「統合司令部」を創設するのに合わせて、在日米軍側も指揮統制を「円滑化」して、自衛隊と米軍の相互運用性を高め、指揮統制を「現代化」することを打ち出しました。また、人工知能(AI)などの最先端技術の開発をはじめ、経済安全保障分野における日米の連携強化、さらに、米国が主導する月探査計画「アルテミス計画」を含めた宇宙分野など、幅広い分野での連携・協力をうたい上げました。さらに、米英とオーストラリアの3カ国による安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」との連携において、日本がより大きな役割を担うことになることも明らかになりました。 

    フィリピンのマルコス大統領を交えた米日比による初の3カ国首脳会談がもたらしたアジア・太平洋における安全保障体制に関わる重大な「変化」、すなわち、米日比3カ国の「準同盟化」とも言える連携強化は歴史を画する動きとなりました。米軍とフィリピン軍による合同軍事演習「バリカタン」が4月22日から3週間にわたって行われ、「台湾に近いフィリピン最北端の島々や、南シナ海に面したパラワン州西部で、敵に占領された島々を奪還するシミュレーション」も実施したというのです(ロイター4月22日)。今回初めて招かれたフランス軍に加え、フィリピンと「訪問軍地位協定」を結ぶオーストラリア軍が正式に参加し、日本や韓国、インド、ベトナムなどの各国もオブザーバーとして加わりました。米軍の中距離ミサイルの発射装置の配備訓練も行ったことは、この海域における緊張を一層高めるものとなりました。 

    そして、最も重要なことは、これらの全てを貫くのが、天博克罗地亚国家队赞助商の「脅威」への対抗と抑止にあることです。このことが、今後の日本の「行く道」において極めて重要な分岐点となることは間違いありませんし、日中関係に重く影響を及ぼすことは明白です。 

     

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